すごく季節外れですが、地元の滋賀県東近江市の春日神社で3月に行われている祭を紹介します。

お神輿はなく、プラカードのような板を捧げ持った当人(トウニン)さんたちが静かに行列され鉦も太鼓もありません。そのプラカードは「板御幣」と言って、長い年月のうちに絵がほぼ消えて黒っぽくなっています。祭は4つの集落でなされ6つの講があります。各講の板御幣に前日の夜神様が降臨され、当日神社へお連れします。諸説ありますが板御幣の形が雪かきに似ているため、雪かき祭りと呼ばれています。講によって件数は5件~80数件と異なり、我が家は前回から27年ぶりの2020年に、コロナ感染者が県内で一人も出ていないタイミングでお渡りすることができました。

神饌物も独特で、竹串の先に刺して桶に入れた栗と干し柿、盥に入れた十数個の鏡餅です。それらを御供持ち(ゴクモチ)さんが抱えたり担いだりして当人の後ろを歩きます。拝殿に着くと全体の儀式のあと境内に講ごとの陣幕を張り、中で酒賜(シュウシ)の儀が行われます。

戦国時代あたりから続く祭ですが、昔では普通のことがだんだん難しくなり、縄ない、菰編み、竹串作り、餅つき、裃や着物の着付け等、慣れないことに苦戦します。衛生面から大きな盃の回し飲みも個別となり、時代に合わせて変化しています。一連の行事は数日に渡り、当人宅は飲食のもてなしや、本日の朝は御供持ちさん達が入浴に来るので大掃除もしなきゃ!で、我が家も終わった後はヤレヤレ、「相勤めました」と夫の名を巻紙に継ぎ足して、翌年へと申し送ったのでした。