今年は例年に比べて桜の開花が早かったので、各地の桜まつりの主催者の皆さんは、気が気でなかったでしょうね。
「お花見」というと、公園やお城等の広い場所でシートを敷いて、美味しいものを食べたりお酒を飲んだりして楽しんだり、川沿いに植えられた桜をそぞろ歩きしながら楽しんだりと人それぞれの楽しみ方が有りますね。
この「川沿いで桜を愛でる」というおなじみの光景の礎を築いたのは、江戸幕府八代将軍・徳川吉宗でした。当時、隅田川の堤防を強化しつつ、江戸の庶民に憩いの場を提供しようと考えた吉宗は、大規模な植樹を命じました。桜の名所を作ることで人々を呼び寄せ、踏み固められることで土手を強くするという、粋で合理的な治水対策でもあったのです。以来、隅田川の桜は数百年もの間、東京の春の象徴として愛され続けてきました。
しかし近年、全国各地で桜を含む倒木事故が相次いで報じられています。戦後の復興期や高度経済成長期に一斉に植えられたソメイヨシノが、一様に寿命とされる60年から80年を迎え、老木となっているのです。一見すると美しく咲き誇っているようでも、幹の内部は空洞化し、自らの重みに耐えきれなくなっている木が少なくありません。安全のためには、苦渋の決断を下さざるを得ない場所もあります。長年、多くの人々を楽しませてきたある名所でも、老朽化による危険から伐採が決まり、「今年のお花見が最後」という報せが届きました。
慣れ親しんだ景色が失われるのは、寂しいものです。散り際の潔さが桜の美徳とされますが、風景そのものが去りゆく姿を目の当たりにすると、言葉にできない喪失感がこみ上げますね。一年一年、桜が咲く美しい風景を当たり前と思わず、大切に過ごしていきたいと思います。




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