もうすぐ定期演奏会、そのプログラムの中には中国の歴史や文化を背景にした様々な曲がありますが、色の字が入った題名(紅と白)の物語にまつわる曲も2曲入っています。
1つは“葬花吟”、もう1つは“白蛇伝”です。
その2つの曲についてのお話です。
 “葬花吟”は中国で有名な小説「紅楼夢」を30年位前にテレビドラマ化した時の曲です。
「紅楼夢」は中国四大名著の1つで、他に「三国志演義」、「水滸伝」、「西遊記」があります。
それぞれ日本でも有名で人気がありますね。
数年前に中国に行った時、この四大名著をテレビドラマ化した時の曲が入っているCDを見つけて買ってしまいました。
沢山ある曲の中でも、やはり「紅楼夢」の曲が一番印象的ですね。

「紅楼夢」は清朝の頃に書かれた長編小説で、貴公子の贾宝玉と彼をめぐる林黛玉等12人の美女の物語で、
中国版「源氏物語」とも言われています。
貴族の栄枯盛衰や微妙な心理描写にも優れ、中国小説史上最大傑作の1つとされています。

小説が世に出た頃は<紅迷>と言われる熱狂的なファンが沢山いたそうで、
「紅楼夢」の研究をする<紅学>という学問も生まれました。
テレビドラマ化された時も国民的人気があったそうです。
私も少しだけ見たことがあり、ドラマでは、“紅豆曲”、“聡明累”、“分骨肉”等・・すごい題名の歌曲もありますが、
その中で一番有名なのが“葬花吟”。
ヒロインの林黛玉のはかなく短い命を暗示した、ちょっと悲しくも美しいメロディーです(やっぱり美人薄命?)

 次に「白蛇伝」、これは中国の民話で、四大民間説話(伝説)の1つです。
他の3つは、「孟姜女」、「牛郎織女」、「梁山泊と祝英台」です。(「牛郎織女」は、日本では七夕のお話として有名ですね。「梁山泊と祝英台」は、劇化や映画化されて、中国音楽としてもよく演奏されています。) 
 さて「白蛇伝」ですが、これは一つの伝説ではなく、古くから小説や戯曲の題材とされてきました。

それぞれの時代、地域の民衆や為政者の志向に合わせて変化してきたようです。
大体の内容は、西湖を舞台とした白蛇の精と青年との恋愛物語ですが、青蛇の精や仏僧などもでてきます。
京劇や地方劇で語り物として上演され、全国に広まりました。
現代になって、何度も映画化、ドラマ化されていますが、日本でも数十年前に最初の長編アニメとして製作されました。
これがすごいアニメで、完成度が高く、世界中を驚かせた伝統的傑作らしいです。
実は私も子供の頃に見た事があります。

お話の面白さ、人物や動物の滑らかな動作、華やかな色彩・・アニメとしても素晴らしいのですが、私にとって、中国の民間故事や中国音楽が好きになるきっかけの1つになったお話です。

 最後に色づくしのおまけとして、“黄”のつく有名な山…世界遺産の“黄山”について。
数年前に行った時、沢山写真を撮ってきましたが、その時の山水画のような絶景の写真をいくつか…仙人が住んでいそうな自然の中で、のんびりと楽器を演奏するのもいいかも……