ひょうたん笛 『葫芦絲』。

『葫蘆絲』とも書きます。読みは hulusi フルス。

「葫芦」はひょうたんのこと。日本語で「ころ」と読むそうです。
・・・したらば「葫芦絲」は「ころし?」(笑)
中国は雲南省の少数民族「タイ族」などに伝承する民族楽器の一つです。

私がこの楽器のことを知ったのは1996年大晦日から1997年三が日にかけて楽譜・資料・音源を求めて北京へ旅行した際、中央音楽大学の購買部で購入した教本がきっかけでした。

教本で紹介されている見たこともない楽器。もちろん音色も聴いたことはない楽器。
運よく、直後に雲南省へ旅した知人によって手にすることができました。

みんぱく(国立民族博物館)展示中のひょうたん笛たち
みんぱく(国立民族博物館)展示中のひょうたん笛たち

その後、NHKの特別番組で「天と地の時を奏でる~中国55少数民族 音楽の旅~」という番組が放映され、この葫芦絲が演奏される場面がありました。録画を見直してみると、なんと北京で買った教本に出てる曲目を演奏していることがわかりました。

ず~っと教本を見てたときにたまたま楽譜を暗譜していた曲が流れてたわけですね。
しかもその曲の作曲者本人が吹いてるし!もう、びっくりくりくり くりっくりっ(笑)!
一人でテレビの前で壊れたかのように狂喜乱舞状態でした!

手元に楽譜が有って楽器が有ったら、吹きますよね。
ええ吹きますとも。
当然吹きます。
吹きまくりです。

そして時は流れ、またまた狂喜乱舞な出来事があったのです!
1997年に手に入れた葫芦絲はある方からの貢物です。
雲南で購入とはいえ民族楽器店ではなく壺に指してあった民芸品だったとのこと。
私が所望してた笛の画像の1本と同じだったので「分けて欲しい」と嘆願したところ、「大中小の三本セットでなら」と購入に至り、私のもとにやってきました。

その葫芦絲には竹を骨組みにした「竹楼」と呼ばれる高床式住居に暮すタイ族の様子を表す絵と作者の名前などが書かれていました。

1997年、うちにやってきた葫芦絲(C調。F調。B♭調)
1997年、うちにやってきた葫芦絲(C調。F調。B♭調)

1999年の雲南省昆明の世界花博以来、葫芦絲は中国でも広まったようで、お土産もの・玩具・工芸品から本格的な楽器まで、材質にいたっても瓢箪以外にもプラスチック製・木製・玉製・陶器製・・と各種目にするようになりました(形状はどれもひょうたん形)。

毎年秋に開催される上海楽器博覧会でも年々葫芦絲を出品する楽器工場が増えてきているようです。そして吹き方指南の教本、音源、VCD、DVDと次々と資料が発刊・発売され始めました。

葫芦絲を続けるうちに楽器も資料も手元に集まってきた中、私が最初に手にした「竹楼」の絵の3本の葫芦絲と同じものをある教本で見つけました。そして葫芦絲奏者であり製作者の第一人者である故エンダーチェン氏と一緒に映った作者の写真も。

今年、何本かの葫芦絲を新調したのですが、一部は楽団で使用するためピッチを重視ということで初めてオーダーしました。この葫芦絲の製作者が「竹楼の絵入り葫芦絲」の方だったわけです。取扱い業者の話によると、彼は今では著名な葫芦絲製作者の一人だそうで若いころ父の下で修業中に作ったものを日本で私が今も使ってるということで感激したそうです。

その話を聞いて、私も大興奮!「それがどうしたん」と言われればそれまでですが、私には狂喜乱舞な出来事でありました。楽器をずっと続けてることでいろんなワクワクがあってほんと幸せ。

本格的な演奏というのは別として、気軽に楽しめる楽器だし、吹いてるすがたもかわいらしい。見た目はもちろん、その素朴でやさしい、ユニークな音色に惹かれる気持ちは同じ。

どうです?

葫芦絲、はじめてみたいと思いませんか?