はじめまして。私は昨年の9月から天翔楽団の団員になりました。

天翔楽団の定期演奏会には、数年前から毎年寄せていただいており、少人数でありながらもそのクオリティーの高さにいつも驚き、感心し、感動しておりました。私はすでに他の中国音楽の楽団に所属しておりましたので、天翔楽団に惹かれながらも、数年間、入団をためらっておりました。もし入団したら2楽団掛け持ちとなり、どれだけ忙しくなるか想像もつかなかったからです。
現在は何とか両立させる事が出来ていますが、やってみればどうにかなるものだなぁ、という感じです。「案ずるより産むが易し」とは良く言ったものです。毎週の練習も楽しく、充実しているので、勇気を持って飛び込んで良かったです。
これからも、どうぞよろしくお願い致します。

さて、私は現在、二胡を弾いている優雅な姿(そうありたいです・・が???) からはおよそ想像もつかないような、ある種の過酷な製造業に普段携わっております。
そこでは「七宝焼」というものを作っております。七宝焼とは、金属の「地金」というものに、「釉薬」というガラスの粉を水で溶いたものを塗って焼くことによって、金属とガラスを融合させて作る工芸品です。ガラスを溶かすのに必要な温度は800度以上。

↑このような炉で焼成しています。火傷に注意!
↑このような炉で焼成しています。火傷に注意!

私が主に携わっているのは、「研ぎ七宝」と呼ばれるもので、地金からガラス面が出っ張るくらいになるまで、何度か焼成しておいて、ガラス面を研いでツラを合わせる必要があるのですが、これがなかなかの重労働です。
↑焼成後の七宝を研磨する機械その1。削れた粉が飛び散ってドロドロに・・
↑焼成後の七宝を研磨する機械その1。削れた粉が飛び散ってドロドロに・・

細かい作業をする時には、拡大レンズを覗いたりもします。レンズを覗きながら作業していると、作業している部分に視線が集中してしまい、目が疲れ、さらには肩も凝って来てしまいます。そんな時にどうしたら少しでも楽に作業できるかと言うと、「一点に集中し過ぎないこと」なのだそうです。作業に集中していると、そこしか見ていないようですが、実は視界にはその周りの物も入って来ていて、周りの物も「見えている」と感じながら作業することによって、楽に作業できるんだそうです。不思議ですね。
これは、最近勉強を始めたアレクサンダーテクニークの先生に教わりました。
↑細かいものはレンズで覗きながら作成します
↑細かいものはレンズで覗きながら作成します

楽器を演奏する時にも、例えば上手く弾けないフレーズに必死になっている時などは、先程の例と同じように、意識が一点に集中し過ぎてしまっている状態になっていて、少し視点を広く持つようにしてあげるだけで、弾きやすくなったりすることもあるみたいです。
そういえば、天翔の練習でも指揮の井上先生が、楽譜にかじりついている私達に向かって「視野を少し広げてみて」や「まわりの状況を感じるようにしてみて」という言い方をされる事がよくあります。合奏をする時には、特にそういった視野の広さみたいなものが大切になって来るのですね。やっている内容が全く違うような事の中にも、共通点が見つかったりすると面白いですね。