11月15日は天翔楽団第13回定期演奏会の日。本番まであと2カ月を切りました。
現在団員たちは、毎週土曜日、必死に、必死に、それはもう必死に、とにかく必死に練習をしています。必死です。必ず死にます。

そんな必死に練習している団員が「がんばってよかった!!」と思えるのが、観客からの「演奏会よかったよ!」という声です。
しかし、中国音楽はあまりにマイナーすぎて、西洋のクラシックと比べても更に更に分かりにくい世界。西洋のクラシックを初めて聞きに行った場合、その音色の心地よさに寝てしまうのは必至ですが、中国音楽の演奏会になると打楽器がうるさくて寝ることもままならず「なんだこれは!わけがわからん!」となるのがオチです。

そんな現状をどう打開すればよいのか、天翔楽団員は日々悩んでいます。どうすればもっと観客に喜んでもらえるのか、どうすればもっと観客に理解してもらえるのか……

そんな中、こんな本を読みました。
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クラシック鑑賞について、非常にカジュアルに、皮肉も込めつつ、ユーモラスに書かれた本です。クラシックはわかりにくい、何が面白いんだ、いつ拍手すればいいんだ、という疑問に次々答えています。「クラシックに手を出してみようかな?」と思っている紳士淑女の皆様にはぜひ手にとって読んで頂きたい。

そんな素敵な本に触発されたため、今回の団員便りは、天翔楽団定期演奏会をより楽しむコツをお送りしたいと思います。

1.そもそも中国音楽が何か知らないんだけど、行ってもいいの?
いいんです。お気持ちはわかります。中国音楽、なんだそれ。なんか二胡が出てくるらしい。笛があるらしい。そんな理解で十分です。二胡も笛もあるんです。他にもいろいろ楽器があるんですが、そんなの知らなくていいんです。二胡や笛が、音楽を演奏する。よく市民会館やイベントで「二胡の美しい音色を聴きながら~」なんてやってるのを見かけますが、そういうのは大概1人や2人で演奏しているもの。天翔楽団の定期演奏会は、それが20人くらいになったものだと考えればOKです。

2.どんな服装でいけばいいの?
普段着でお越しください。お堅いドレスコードなんてありません。タンクトップに短パンでも、ハッピと浴衣でも、当の本人が恥ずかしくなければ何を着ても大丈夫です。

3.どれくらいの時間に会場に行けばいいの?
演奏会は14時開演、開場は13時半からです。13時半以降に到着すれば、中に入って座席に座り、プログラムを眺める余裕もあるでしょう。14時を過ぎてしまっても大丈夫。曲の演奏中は入場できませんが、曲と曲との間でこっそり入ることができます。でも1曲聞き洩らしてしまうのでもったいないかも。実は天翔楽団の演奏会の1曲目って、観客の心をつかむため、にぎやかでわかりやすい曲を演奏することが多いんです。天翔楽団の定期演奏会は全席自由席なので、好きな席に座りたい場合は13時半よりちょっと早く(10分くらいで十分!)行って並ぶと選び放題。

4.子供を連れて行ってもいいの?
もちろんです。日本の中国音楽においては、その年齢層の高さが課題。若い世代がほとんどいないのです。なので、小さな子供にも興味を持ってもらえるならこちらも練習した甲斐があるというもの。しかも天翔楽団の演奏会は中学生以下は無料ですよ!赤ちゃんや小さなお子様を連れてくる場合もご安心。天翔楽団が演奏会を行うクレオ大阪西は親子室もあり、そこから鑑賞することもできるそうです。6人までの利用だそうなので、利用したい場合はお早めにクレオ大阪西のスタッフにお尋ねください。でも、お子さんが泣きだしてから親子室に行けばいいや、とお考えの方はご注意。演奏会では皆音楽を聴きにきているので、演奏中の泣き声、話し声、ドタバタ走る音なんかは避けてほしいので、お子さんのご機嫌を伺いつつ、事前にご利用ください。あ、でもモニター越しでの鑑賞になるので、画質や音質はあまり良くないらしいです……

5.どの座席がいいの?
これは一概に「この席がベスト!」というのはないんです。なぜなら、どの席にもその席の特徴があるから。
例えば、「一番前の席が一番近くでよく見える!!」と誤解して、一度座ると実は楽団の最前列の人の足しか見えなくてがっかりしてしまう最前列。音楽を鑑賞するという点、楽団の演奏を楽しむという点で見ると、最前列は一番オススメできません。一番前の人の足しか見えないし、クビが疲れるし、音のバランスが悪い。でも、楽団に一番近い、ということは、楽器の音がそのまま伝わってくるので、「楽団はええねん、ワシは二胡の音を間近で聞きたいねん」という方は舞台に向かって右側の最前列に座るとご満足いただけます。
「こういうクラシックっぽいの聞くの初めてだし、よくわかんないなぁ」という方は、とりあえず会場の真ん中のほうの席に座るのがおすすめ。楽団全体を眺めることができて、音もほどよく混じって聞こえると思います。後ろのほうの楽器に注目してみると「なんだあれは!?」というような発見があるかも。
「妻に連れられて行くんだが、こういうのはワシ必ず寝てまうねん」という方は、後ろのほうの端っこに座りましょう。寝るだけなら前のほうの席でもいいですが、イビキなんかかいちゃうと楽器の音色にイビキの音色が混じってなんともいえないハーモニーになるので、周りの人からヒンシュクを買っちゃいます。
団員に友人がいる人は、事前にその団員がどこに座るのか聞いておいて、その場所寄りに座るとよく見えます。顔が見える位置に座ると、演奏中に難しそうな顔をしていたり、楽しそうな顔をしていたり、普段と違った友人の顔を見ることができるでしょう。
演奏会に何度も通っていると、自分の好みの座席が出てくるはず。まずはどこでもいいので、直感で座席を選んでみましょう。気に入らなかったら、休憩時間中に席を変えちゃえ!

6.聴きに行ってもわからないから退屈じゃない?
退屈だと思います!だってわからないんだもの。わからない音楽を聴いても、お経を聞いてるのと同じようなもの。
特段凝った演出もなく、曲がいつ終わるのかもわからず、なんかプァープァーキィーキィーやってるだけ。やっぱり演奏会はつまらない。こう思ってしまうのは、実は「曲を知らない」こと、更には「初めて聴いた曲を理解出来ない」ことが原因。西洋のクラシックも同じ、聴いたことない曲は「なんかバイオリンっぽい音から始まって、プァーって音がして、うるさくなって、静かになって、気付いたら寝てた」となるのが一般的。
それでは、どうすれば演奏会を楽しめるのだろうか。それはズバリ、「予習」をしていくこと。
予習とは具体的には、演奏会で演奏される曲を事前に何度か聴いておくこと。演奏会でやる音楽を先に何度か聴いておいたり、どういう内容を表現した音楽なのかを知っておくと、演奏会が何倍も楽しくなる。
「でも事前に予習しろったって、どうやって聴けばいいかわからんばい……」
ご安心ください。今年の天翔楽団は一味違います。これから11月15日の本番まで、天翔楽団ホームページでは「団員便り特別編」と称して、第13回定期演奏会で演奏する曲を、YOUTUBEの映像と共に紹介していきます。それぞれの曲の特徴や、どんなところに注意すると面白いか、どんどん更新していくので、お楽しみに!!

7.「携帯電話の電源はお切りください」って言われるけど、マナーモードでいいよね?
マナーモードじゃダメなんです。だって、アラームはマナーモードでも音が出るんだもん……それに、隣に座った人のポケットからずっと「ヴィー、ヴィー、ヴィー、ヴィー……」って音がしてたら、気が散っちゃうでしょ?だから、面倒でも「携帯電話の電源はお切りください」。

8.演奏中にお手洗いに行きたくなっちゃった……
もし休憩まで我慢できたらいいんだけど、いつ休憩になるかもわからない、しかもダムが決壊しそう……そんな時は、周りの観客の視界を遮らないよう、そーっと席を立って、音を立てずに、そーっと扉を開けて、脱出すればOK。でも、一度出ちゃうと、曲の演奏中は入れないから、1曲演奏が終わるまで外で待たないといけません。

9.隣の人がずっとしゃべっててうるさい、隣の人が香ばしい……
しゃべってる人には「ちょっと、演奏中ですよ。お静かに」と注意できても、香ばしい人は……うーん、なんともできません。開いてる席に移動しましょう。

10.いつ拍手をすればいいの?
「なんかずっと暗い音が続いたり消えたりしてて、どこで曲が終わったのかわからない……」「おわった?まだ?拍手は今?まだ?」
拍手遭難者の皆様、ご安心ください。急いで拍手をする必要はありません。むしろ、拍手はどれだけ遅くなってもいいです。拍手のタイミングが分からないときは、周りの人が拍手し始めたら、一緒に拍手しましょう。
演奏会に行くと「せっかく演奏してくれたんだから、曲が終わったらすぐに拍手しなくちゃ!」という強迫観念に襲われたり「ワシが一番に拍手しちゃるけん!」と意気込んだりする方がいますが、後生です。やめてください。お願いします。このとおりです。
ご存知の通り中国音楽は皆様が普段触れる機会のない、わかりにくい、わからない音楽ですから、得票率95%の多数で皆が「曲が終わった!」と当選確実を確信していても、実は終わってないことがあるんです。演奏途中で拍手なんてされると、楽団は「えぇ、まだ終わってないのに……下手だから早く終われって催促されてるのかな……」なんて思い悩んじゃいます。もしくは、長い長い旅路を経て、ついに最後の音が鳴って、鳴って、消えて、余韻に浸って、浸って……浸っているところにいきなり「パチパチパチパチ!!」なんてやられると、余韻が一瞬で吹き飛んで、殺意に変わっちゃいます。こういうのを「フライング拍手」と呼び、演奏会でのご法度とされています。
逆に拍手のタイミングがすごく遅くなっても大丈夫。拍手は早く音が鳴ればいいわけじゃありません。「よかったよ!」という気持ちを伝えるのに、数秒遅れたって遅すぎるなんてことはありません。「ブラボー」という声も同じ、早すぎるのはダメ、でも、いくら遅くなっても大丈夫。あなたの「よかったよ!」という声、拍手や叫び声で、ぜひ団員たちに伝えてください。喜びます。拍手は団員の一番の大好物です。
曲の終りの目安になるのは、楽団の音が全部止まって、指揮者の両手が完全に下に降りたとき。交響曲のように複数楽章の曲ではない限り、この状態であれば曲の終わりです。指揮者の手がまだ下がってないうちは、拍手をするのは時期尚早。たまにそういう曲もありますけどね。最初のうちは様子見するのが無難です。

11.「アンコール!って言ったほうがいいの?」
言ってください。ぜひ言ってください。喜んで演奏しますよ。だってほら、アンコールって、準備、してますもん。かなり、時間、かけて。そりゃもう、他の曲と、同じくらい、準備、してますから。準備したのに、演奏する機会が、ないなんて、悲しいじゃない。

12.あの団員さんと話がしたい!
天翔楽団の定期演奏会では、演奏会終了後に、全団員がロビーにて皆様をお送り出しいたします。演奏会で気になった団員や、よかったと思う団員に一言「よかったよ!」と言うだけで、団員は飛び上がるほど喜びます。全然知らない人でもいいんです。ぜひ一言声をかけてください。ついでに楽器を弾くコツや、楽器の説明なんかもおねだりして大丈夫です。「あの人の姿が無い」って時は、近くにいる団員に「あの人はどこ?呼んできて!」って言えば大丈夫。急いで呼んできます。
注意してほしいのが、直接楽屋に行く方。できればやめてください。楽屋というのは入ろうと思えば誰でも入れるので、非常に盗難が起こりやすい場所。皆盗難には気を使っています。しかも天翔楽団の定期演奏会の会場は、楽屋の前の通路がすごく狭いので、そこで立ち話をされると、通路を通る人に多大な迷惑がかかります。団員が友人だからといって楽屋に押し掛けるのは避けて、ロビーで会うようにしてください。

13.アンケートは書いたほうがいいの?
ぜひ書いてください。毎年アンケートは全てのものを団員全員が読んでいます。アンケートを励みに、そしてアンケート内容を参考に、次の定期演奏会の曲を決めたり、構成を決めたりしています。なので、アンケートは天翔楽団の栄養分と言っても過言ではありません。ぜひとも、一言だけでも書いて出してください。楽団全体や団員の褒め言葉なんかが書いてあると泣いて喜びます。次回の演奏会のリクエストなんかも書いておくといいかもしれません。楽団運営っていうものはいろんな事情があるので、リクエストが通るとは限らないんですけどね。入団したいときも一言書いておいてもらえると、後日連絡がいくと思います。アンケートに書かれた個人情報は適切に取り扱いますのでご安心ください。
あ、でも、「あの曲のアソコの部分で二胡が間違えてた」なんていうダメ出しは、できれば心の中に閉まっておいて、温かい目で見守って頂けると光栄に思います。間違えたのは本人が一番よくわかってますから……練習不足を反省してますから……

以上、他にもギモンやご意見あれば、コメント欄なんかに書いてもらえると答えちゃうかもしれません。それでは、「団員便り特別編」をご期待ください!!